第三者検証会社のQAと自社開発企業のQA、何が違う?
2026-05-02
ソフトウェアテストの仕事を探していると、求人企業が大きく2つに分かれていることに気づきます。
- 第三者検証会社(受託でテストを請け負う会社)
- 自社開発企業の QA 部門(自社プロダクトの品質を見る部署)
この2つは「ソフトウェアテストの仕事」という共通点はありますが、働き方・スキルの伸び方・キャリアパスが大きく異なります。
この記事では、それぞれの違いを整理し、自分に合うのはどちらかを判断する材料を提供します。
全体像:何がどう違うのか
| 観点 | 第三者検証会社 | 自社開発企業の QA |
|---|---|---|
| ビジネスモデル | 受託(顧客のテストを請け負う) | 自社プロダクトの品質保証 |
| 関わるプロダクト | プロジェクトごとに変わる | 1つ(または少数)を継続的に |
| 開発との距離 | 遠い(クライアント先 or 別組織) | 近い(同じチーム or 隣のチーム) |
| 仕事の主軸 | テスト実行・報告 | テスト戦略・設計・改善 |
| 求められる力 | 正確性・コミュニケーション・幅広い対応力 | プロダクト理解・分析・提案力 |
| 給与水準 | 中程度(年功重視) | 中〜高(成果・スキル重視) |
| 未経験採用 | 多い | 限定的 |
「第三者検証 = 入りやすいが伸びにくい」「自社 QA = 入りにくいが伸ばしやすい」という単純化はできるものの、それぞれに良い点・悪い点があります。
第三者検証会社で働く QA
ビジネスモデル
第三者検証会社は、他社のソフトウェア(クライアントのプロダクト)のテストを受託で請け負う ビジネスです。日本では SHIFT、ベリサーブ、AGEST、SHIFT PLUS などが代表的です。
クライアントから「このアプリのテストをお願いします」と発注され、テスト計画・設計・実行・報告までをパッケージで提供します。客先常駐で働くケースも多くあります。
仕事の進め方
- プロジェクトベース(数ヶ月〜1年程度で案件が変わる)
- クライアントの開発チームに対して外部から品質を見る立場
- 主にテスト実行・報告が中心、設計や戦略はリーダー層が担う
- ドキュメント作成(テスト計画書、報告書)の比重が大きい
- 関わるプロダクトは EC、業務システム、ゲーム、IoT など幅広い
メリット
- 未経験から入りやすい: 業界未経験者向けの研修制度が充実している会社が多い
- 多様なプロダクトに触れられる: 1〜2 年で複数のプロジェクトを経験できる
- テストの基礎が体系的に学べる: 標準化されたテストプロセスを実地で身につけられる
- ドキュメント作成スキルが鍛えられる: 外部報告するため、書く力は確実に伸びる
デメリット
- テスト実行中心になりがち: 設計やプロセス改善は上位ポジションでないと触れない
- プロダクトへの深い関与は難しい: 「外部の人」として扱われがち、開発判断には関われない
- 自動化・技術スキルは限定的に伸びる: 案件次第で、技術ベースの仕事に振り切れない
- 客先常駐の比重が高い場合は精神的負荷も: 自社内勤務とは違う気の使い方が必要
第三者検証会社の中でも、「自動化」「アジャイル QA」「セキュリティテスト」など特定の領域に特化したチームに配属されると、技術スキルを大きく伸ばせます。求人を見るときは「どの部署・どのプロジェクトに配属されるか」を必ず確認しましょう。
自社開発企業の QA
ビジネスモデル
自社で開発・運営するソフトウェアプロダクトを持つ企業の QA 部門で働きます。Web 系(メルカリ、freee、サイボウズなど)、SaaS 企業、ゲーム会社、金融系の自社開発部門など、多様な業界に存在します。
仕事の進め方
- 1つ(または少数)のプロダクトに継続的に関わる
- 開発チームと同じ組織の一員として動く
- スプリントの中で QA も含めたサイクルが回る(アジャイル)
- テスト戦略の立案、テスト自動化、メトリクス分析、プロセス改善まで担う
- 開発者・PM・デザイナーと日常的に会話する
メリット
- プロダクトに深く関われる: 設計レビューや要件定義にも参加できる
- 技術スキルが伸ばせる: 自動化、CI/CD、パフォーマンステストなどに踏み込みやすい
- 品質設計の上流に関われる: テスト実行を後追いするのではなく、最初から品質を作り込む
- キャリアの幅が広い: QA リード → エンジニアリングマネージャー、SDET、Product Quality Lead など多方向
デメリット
- 未経験採用は少ない: 即戦力前提のことが多い
- 守備範囲が広く、自走が求められる: 「指示待ち」では務まらない
- 1つのプロダクトに偏るリスク: 別ドメインへの転職時に経験が活きづらいこともある
- 品質責任のプレッシャー: 障害発生時の調査や改善提案を主導することになる
どちらを選ぶべきか:判断のポイント
こんな人は第三者検証会社向き
- ソフトウェアテストの業界未経験である
- まず幅広く経験を積みたい
- 手順や仕組みに従って正確に動くことが好き
- 体系的な研修を受けて基礎を固めたい
- 配属次第で自動化や上流工程にも挑戦したい
こんな人は自社 QA 向き
- すでにテスター経験 1〜2 年あり、次のステップを考えている
- 特定のプロダクトに腰を据えて関わりたい
- 開発チームと対等に議論したい
- 自動化・技術寄りの仕事に踏み込みたい
- キャリアの裁量を自分でコントロールしたい
キャリアの典型的な進み方
業界未経験者が QA エンジニアになる王道は次の流れです。
未経験 → 第三者検証会社(テスター)
→ 第三者検証会社内で QA リーダー昇格 or 自社開発企業に転職
→ 自社開発企業の QA エンジニア
→ 上級 QA / SDET / EM / 専門領域 (セキュリティ、パフォーマンス etc.)
第三者検証で基礎を固めながら、転職を視野に入れて自動化・設計スキルを意識的に伸ばしていく、という戦略が現実的です。
第三者検証会社で「テスト実行ばかり」になっていると感じたら、転職のサインです。 1〜2 年経っても設計や自動化に触れていないなら、社内異動の希望を出すか、自社 QA への転職を検討するタイミングです。
求人を見るときのチェックポイント
実際に求人を見るときは、肩書きや会社種別だけでなく、以下を確認すると判断しやすくなります。
- 業務内容欄: 「テスト実行」だけ書かれているか、「テスト設計」「自動化」「プロセス改善」も含まれているか
- 求めるスキル欄: プログラミング言語、CI/CD ツール、テストフレームワークが書かれているか
- 配属先・チーム構成: どんな技術スタック、何人のチームか
- 顧客とアサインの実態(第三者検証の場合): 客先常駐の比率、案件の選択可否
- 昇進・昇給モデル: スキルベースか、年功ベースか
転職エージェントを使うなら、IT エンジニア向けの レバテックキャリア や type転職エージェント IT などが、QA 求人もそれなりに保有しています。
まとめ
- 第三者検証会社: 入りやすい、幅広く経験できる、テスト実行中心、設計や自動化は配属次第
- 自社開発企業の QA: 入りにくい、深く関われる、品質設計の上流から、キャリアの幅が広い
- 未経験から目指すなら第三者検証 → 自社開発という流れが王道
- 求人は「肩書き」より「業務内容」「配属先」を見る
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